施設概要

「あゆーむ」のこだわり

木材

館内に使われている構造用集成材は、白鷹(黒鴨)の木材を中心にしたもので、岩手県遠野市の工場などで製造し、木材の含水率や向き、面などを何度も検討しながら制作されたものだそうです。

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館内サイン

館内サイン館内の案内表札は、白鷹町の「深山焼き」の陶板でできています。作者は、「深山工房・つち団子」主宰の金田利之さん。土は鮎貝赤坂のものを使用。今回はオリジナルの貴重な紅花の灰で作った釉を使い、深みのある黄色の肌合いが生まれました。


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オブジェと照明器具

館内には、白鷹町出身の現代工芸作家、青木邦明さんが制作したオブジェと照明器具があります。ホール前に置かれたオブジェは、最上川の流れを、照明は、養蚕に使う「まぶし」をイメージしたとのことです。


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音響

ホールの設計にたずさわっていただいた、渇i田音響設計の代表取締役社長 池田覺さん(写真右 以下:池)と本間利雄設計事務所の一級建築士 石田秀光さん(写真左 以下:石)にお話をお伺いしました。

◆音響設計とは・・・

一般人には馴染みの薄い言葉ですよね。

池:簡単に言うと、「静けさ・良い音・良い響き」って言ってるんですよ。
わたくしどもは語呂がいいし使いやすいのでそう言ってるんですけど、だいたいそれが、いろんな空間に必要な音響性能であったり、音響条件だろうと思ってるんですよ。例えば…

◇「静けさ」とは
コンサートホールのような空間だったら、より小さい音まで聴きたい。講堂のような空間だったら、人がしゃべるのが聴こえればよ い。それをコンサートホールほど静かにする必要はない。それぞれの目的によって、「静けさ」の程度が違うんですよ。目的にあったふさわしい「静けさ」を確 保する。ということが一つ。

◇「良い音」とは
大きな空間だと、拡声設備、マイクを使ってスピーカーで音を出すわけです。やはり人 間の出せる音量というのは限られてますから、拡声が必要になってくる。拡声すると今度は設備のクオリティによって、音が決まるんですね。例えば音楽を聴く となると、単なる情報伝達以外のものが必要なわけですね。そうするとクオリティがかなり必要になってくる。ただ音が出ればよいじゃなくて、「よい音」とし て、より心地よい音という要件が必要なんです。

◇「良い響き」とは
音楽をやるんであれば「響き」を感じるほうがいいですね。芝居の小屋だったら、比較的せりふが通らなければならない。そういうふうに「響き」というものが使われる用途に対してふさわしいかどうかということが一つ。

この3つが目的としている空間にふさわしいバランス、ということが“音響がいいですね”ということだと思ってるんですよ。
目的に合った音響の要件を満たして建築の中に反映させていく作業がわたくしどもの仕事。

◆それぞれのお仕事

池:白鷹町さんが本間設計事務所さんの方に

「こういうホールをつくりたい」
「こういう目的のホールをつくりたい」
「こういう用途でつくりたい」
「どれだけ収容できて」

と、おっしゃったとする。そうすると建築家はそれに合わせて、それぐらい人が収容できるような敷地の条件の中でつくるわけですよ。建築家がプロポーションを。
だからわたくしどもの方では、建築家の形づくるもの、形についてアドバイスしている。例えばコンサートやる、芝居やる、講演会やる、そうすると必要な「静けさ」、「よい響き」がどんな条件が必要だろうかというのがでてきますので、
「こういう用途でつくるならば、こういう風にしなくちゃいけない、こういう形にしなくちゃいけない」
意匠的にはこういう形をしたい、という声があったら、
「じゃあ、その形はこういう風にしたらいい」
っていうのを、コンピュータを使って、反射音を解析しながら形を決めていくわけです。


◆あゆーむの特徴

池:あゆーむは、空間として、通常のホールとはちょっと違う。響きを長くつくってある。
どちらかといえば、生の音の方に向いているつくりかたをしてるので、コーラスだとか弦楽器だとか、ピアノに向いています。舞台はそれほど大きくないから、アンサンブルには丁度いいじゃないですか。

また、オープンスペースといって、舞台と客席が一体になっている空間なんです。いわゆる定番のような、歌舞伎に代表されるような、幕がでてくるようなものは ここには向いていないわけですが、出演者とお客さんにあんまり差が無くて、いつも混在してるみたいな、交流がもてるような空間だと思うんですよ。交流セン ターという名のごとくね。だから、舞台もあんまり高くないんですよ。昼間だと、外光も入るので、オープンな使い方ができますよね。明るい感じで。

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いろいろな想いがつまった、あゆーむホールです。
ご協力ありがとうございました。

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ホール用イス

あゆーむホール用イスをデザインしていただきました、椅子デザイナー鈴木一司さんにインタビューをさせていただきました。

───今回あゆーむのホール用のイスをデザインされるときに重視した点はなんですか?

 とりあえずホールにたくさん入るということですし、本間さん(本間利雄設計事務所)ともデザインのコンセプトについて少しお話したんですが。

 やはり『白鷹らしさ』だとか、そういったものは求められたんですね。それで「『白鷹らしい』というのは何だろう?」という中で、朝日山系といいますか飯豊連峰の方までの山の連なり、あと最上川の流れ、そういったことから『連なる』や『流れ』みたいなもの、そのあたりが一応デザインのコンセプトになりまし た。


  イスをスタッキング(重ねること)するということや、持って軽いということなど機能面でも若干のデザイン変更がありましたが、できるだけコ ンパクトでありながら座ったときにゆったり感がある、そういったものをということで、単純に脚の幅全体を広げていくわけではなく、脚のラインは細めにしながら肘のところで肘幅をつけていくようにしました。

この完成したホール用のイスは、全体の重量であるとかデザイン的な軽やかさというものを犠牲にしないで座り心地をあげていくという作業の中で生まれていったものです。

もちろんホールとの相性というものもあると思いますので、その点もデザインの際は留意しました。


───苦労した点はなんですか?

 形のうえというよりは、スタッキングという重ねる機能が必要になりますので、すわり心地+重量+重ねる機能をうまく融合させなければいけないという点がありますから、その点が一番苦心した点です。

───今後このあゆーむのホールをどんな感じで使っていってほしいと思いますか?

 せっかくいい建物ですから、楽しいイベントはもちろん、音楽とアートで何かコラボレイトするようなものですとか。あとはロケーションというかあゆーむの周 りの植栽もどんどんできてきているので、その外を使ったようなイベントも含めて、地元の人もさることながら、やはり町外からもたくさんいらしていただける ような、そういう場所になっていってほしいですよね。

ご協力ありがとうございました。


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